Hemmy-Jam-Pot

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ヘルヴァボスS2第1話“The Circus(サーカス)” 和訳・解説①

新シリーズ、ヘルヴァボス和訳・解説こと「ヘルヴァボスで学ぶ英語表現」のコーナーです。今回は第1弾ことろくでなし親父エディションです。ストラスの父親・パイモンの使う単語から色々読み取れることもあるので、楽しんで頂ければ幸いです。あくまでも一部抜粋しての解説なので、全てのセリフは訳していないのでご注意を。あらすじをまとめた記事を同日に出しておく予定なので全体の流れはそちらをお願いします。

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Calm yourself, young prince. You know excitement is unbecoming of a Goetia.”

“Oh, right. But father told me, today is the day, I'm old enough to know my purpose and responsibility!”

「落ち着いてください若君、はしゃぐのはゴエティアの者としてふさわしくないのはお分かりでしょう。」

「あぁ、そうだね。でもお父さまが言ってたんだ、今日で僕は自分の使命と責任を知るのにじゅうぶん大きくなったんだって!」

  • unbecoming of ~:「〜にふさわしくない、〜に似合わない」unbecoming for ~やunbecoming to ~の形でよく使われるようです
  • purpose:「目的、意図」「(ものの)用途」など。この後のセリフと合わせて「地獄のために自分が働く目的」というような意味だと解釈したので上では「使命」としています。
  • responsibility:「責任」

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“There's my little, uh… Which son is this one? There's so fucking many…”

“Stolas, your highness.”

“Stolas! Yes! Ha! Right, right. That's the one! The owl boy. ”

「よく来た私の可愛い、あー… これはどの息子だったかな?なにせ大勢いるもんだから…」

「ストラスです、陛下」

「ストラス!そう!そうだ、そうだった。その子だ。“フクロウの坊や” だ。」

特に解説する部分はないんですけど、パイモンのダメ親父っぷりが分かるパートなので入れました。「フクロウの坊や」ってセリフに関しても考察の余地があるんですが、それは機会があれば別の記事で。

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“Well, my little one, it is finally your day of becoming a true part of the Goetia family. How good for you. Are you ready to know what you'll be meant to do to serve Hell?”

“Yes, father!”

“You will be entrusted with the study of the Earth's skies, the stars, the prophecies they hold, all that stuff.  Isn’t that fun? You will begin the studies of your Grimoire, which will grant you access to the mortal realm to study and observe, and you will grow to be a mighty Prince of Hell, with your own legions to lead and pass on your knowledge to!”

“I will do my best, father!”

「さて、我が子よ、いよいよ今日はお前が真のゴエティア一族の一員となる日だ。喜ばしいことだな。地獄に仕えるためにお前がすべきことを知る用意はできているか?」

「はい、お父さま!」

「お前は地球の天空や星々、星が紡ぐ予言の研究を任されることとなる。楽しそうだろう?お前はこれより、研究と観察に必要な人間の世界へ行く力をお前に授けるグリモワール(魔導書)の研究を始めることとなる。そしてお前自身が指導し、その知識を伝える軍団を携え、お前は地獄の強大な王子となるのだ!」

「僕がんばります、お父さま!」

  • “How good for you”:good for youは「おめでとう!」「よくやった!」といった意味合いで使われるので、「なんとめでたいことだろう」みたいな感じですかね。
  • serve:「仕える」「奉仕する」「尽くす」
  • entrusted with 〜:「~を任せられる、委託される」
  • grant:「授ける」
  • mortal realm:「人間の世界(人間界)」
  • observe:「観察する」「監視する」星や天体が対象なら「観測する」という意味にもなるそうです
  • legions:「軍隊、軍団」
  • pass on ~:「(知識や技能を)伝達する」

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“Wonderful! Also, son, you are destined to sire a precautionary addition to the Goetia family, so you are now engaged. Congratulations. Isn't she charming?”

「素晴らしい!それから、お前は万一の為の新たなゴエティア一族の子を作ることに決まっているから、婚約することになった。おめでとう。素敵なお嬢さんだろう?」

  • destined to ~:「~するように定められている」
  • sire:「(種馬が子を)生ませる」名詞なら「種馬」「(家畜などの)雄親」という意味です
  • precautionary:「用心のための」「予防の」
  • engaged:「婚約している」文脈によっては「~に従事している」という風にも使われます

…単語の解説を読んでもらえばお分かり頂けると思いますが、“sire” は通常人に対して使う単語ではないです。“precautionary addition”はつまり「万が一の時のために用意しておく跡継ぎ・追加人員」くらいの意味だと解釈してますが、この一文だけでもストラスが自分の意思とは関係なく「種馬」のように一族のため、家のために結婚して子を作ることを義務として強制されているのが分かるかと思います。

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“That's an ugly noise, son. Here, how about you cease this bitch crying?”

「醜い騒音だな、息子よ。ほら、そのやかましく泣くのをよしたらどうだ?」

  • cease ~ing:「~するのを終える、よす」

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“Hm, that usually works. Oh, would you like it if I took you to the circus in town? Children enjoy the circus, right? Would that distract you enough from your non-negotiable future marriage?”

「ふむ、いつもは上手くいくんだが。おお、町のサーカスに連れて行ったらお気に召すかな?子供はサーカスが好きなものだろう?それなら変えようのない未来の結婚からお前の気を逸らすのに十分か?」

  • distract:「気を逸らす」「気晴らしをする」
  • non-negotiable:「交渉不可能な」「交渉の余地がない」

「いつもは上手くいく」ってことは他の子供にもこういう「さあ泣き止むがよい」みたいな対応なんですかね。

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“Is there a spot that's close to the front, but also far enough that I don't have to-- ugh-- smell the poor?”

「他にもっと前列にあって離れられる席はないのか?ーーあ''あ、貧乏人の匂いから」

こっちも特に解説することはないんですが、パイモンがストラスと違って典型的で分かりやすい「貧しい者を見下す貴族」であることが分かるセリフなので入れました。

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“You ready, Blitzo?”

“Born ready!”

「準備いい?ブリッツォ」

「生まれた時から!」

Are you readyからAreがなくなったり、Be動詞を省略するのは英語では結構よくあります。

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“Okay, Blitzo, that's enough horsing around.”

「オーケー、ブリッツォ、『馬』鹿騒ぎはもう十分だよ」

  • horsing around:「ばか騒ぎをする」「ふざけ回る」ブリッツが風船で馬を作ったことと掛けたジョークですね!ここでパッとこういうジョークが出るあたりフィザローリはピエロとして優秀ってことなんだろうか。

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“My son doesn't have any friends, you see, and he liked the little clown boy. It's his birthday, he's so sad and I don't want to deal with him. Can I write a check?”

“Well, Fizzarolli is a big draw. He has a few more shows to be in today, so it would be pretty expensive.”

“No, no, the other one.”

“Blitzo?”

“Correct. How much?”

「息子はご覧の通り友達がいないが、あのピエロの少年を気に入ったらしい。今日はあの子の誕生日で、あの子はひどく悲しんでいるんだが…私は対処したくないものでね。小切手は使えるかな?」

「まぁ、フィザローリは大人気でしてね。今日もまだ出なきゃいかんショーがあるもんで、お代はそれなりに高くつくでしょうな」

「いやいや、もう1人の方だ」

「ブリッツォを?」

「その通り。いくらかね?」

  • deal with ~:「~に対処する」
  • check:write a checkで「小切手を切る」という意味
  • a big draw:「(映画などをさして)大当たり」要するに『沢山の人を呼び込めるもの』という意味

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“Wha- Well, he's my son. So… uh. Hm… ah, how much ya got in your pocket?”

“A wadded-up five and a slim fit condom.”

“Ah, that's plenty. Done.”

“Splendid. Fetch him for me and we will be on our way.”

「あ…いや、あいつは私の息子ですんで…うーん…あんた今の持ち合わせは?」

「丸まった紙幣(5ドル札?)と細身のコンドームがひとつ」

「ああ、十分だ。いいでしょう。」

「素晴らしい。我々は帰宅するのであの子を私の元まで届けるように」

  • wadded-up:「丸まった」「塊になった」
  •  fetch ~ for …:「…に~を取ってくる」猟犬などに対して「取ってこい」の意味で使われることもある単語で、今回の場合は「連れてくる」という意味でしょうか

それにしてもブリッツの父親がフィザローリの時は普通に金を請求していたのに対してブリッツの場合はまともに価値のあるものを請求していないの、単純にブリッツを「価値がない」としているのか、あるいは「実の息子ならいくらでも言うことを聞かせて利用できる(盗みをさせる)から今はこれだけでいい」と思ってるのか、どっちにしろロクな親じゃないですね。

 

第1弾はここでおしまいです。続きは順次投稿していく予定なのでお待ちください!特に解説が欲しい部分など有ればコメント欄で受け付けています。